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ベルリン国際映画祭 ディレクター
パノラマ部門責任者
マイケル・シュトゥッツ
数多くの応募作品の中で、
本作はその静かで力強い語り口によって強い印象を残しました。内山拓也監督による繊細な演出のもと、北村匠海は困難に耐えながら生きる人物を驚くほど豊かなニュアンスで演じ、その存在が作品の感情的な核を形成しています。
極めて感受性の高い映像表現と抑制の効いた演出が、演技と風景のあいだに静かな対話を生み出し、『しびれ』は意図的でありながらも深く心に響く自然主義的な世界を描き出します。随所に見られる思慮深い演出上の選択が作品に確かなリアリティと説得力を与え、観る者の心に長く余韻を残す作品となっています。
第26回TOKYO FILMeX
マティアス・ピニェイロ
ほか審査員による受賞理由
静寂と変化、柔らかと硬さなどが内包され、バランス感覚に満ちた映画である。
監督
ラモン・チュルヒャー
『しびれ』は、暴力と依存に刻まれた家族を描いた、いささかも妥協のない作品だ。家族という名の監獄のなかで、声を失った主人公を見つめ続ける眼差しは、冒頭から息を呑むような緊張感を生み、私を強く引き込んだ。荒々しいフィルムの映像のなかから、温もり、愛、そして自立を求める心からの叫びが、次第に立ち上がってくる。それは深く胸をえぐるほど痛切で、氷のように冷たい。しかし同時に、生きたいと願い、自由を手にしようとするひとりの人間を描いた、繊細で優しい映画である。